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結婚ビザ・配偶者ビザ

時々、外国人の配偶者が収容されたとのご相談をいただくことがあります。

通常、日本人と結婚していれば、「日本人の配偶者」としての在留資格が得られるので、どういうことか事情を尋ねると、外国人と結婚した後、入管での手続きを一切していないとのことでした。外国人の在留資格を尋ねると、よく分からないとのことでしたが、状況から、現時点で在留資格がないことに間違なさそうでしたので、とりあえず、入管に面会に行き状況を確認すること、在留特別許可を受けるための準備をすることにしました。

実際、手続きを進めると、きちんと結婚手続きも終わっていないことが判明したので、結婚手続きからきちんとすることになりました。

ともあれ、このようなケースは意外に多いと感じています。入管は日本人にとってはあまり関係のない役所ですし、在留資格という言葉すら知らない日本人がたくさんいます。そのため日本人と結婚していれば日本で暮らせると思っている人や中には、日本人と結婚していれば日本国籍をもらえると勘違いしている人が意外と多いようです。

今回は、結婚ビザ、配偶者ビザと呼ばれているものについてお話しします。

ビザとは?

このサイトでも「ビザ」と言う言葉を使っていますが、そもそも「ビザ」とは何でしょうか。

ビザ=VISAの日本語訳は査証です。

査証とは外務省が発給するもので、入国管理局ではありません。

でも、外国人の皆さんは「入管でビザを貰う」と言います。でも、入管が許可するものは、「在留資格」と呼ぶものです。もっとも入管の窓口の職員も、外国人に対してはビザと言っています。ただ、我々のような申請取次を行う行政書士や弁護士が入管の窓口で「ビザ」と言ってしまうと、窓口の入国審査官から「この人は入管手続きは素人だな」と思われますので、そこはしっかり「在留資格」と言います。

つまりどういうことかと言うと、ビザには広義のビザと狭義のビザがあります。広義のビザには外務省で発給するいわゆる査証と入管が許可する在留資格が含まれます。そして、狭義のビザがいわゆる外務省で発給する査証のことです。

このサイトでも、ビザと言ったり在留資格と言ったりしますが、まあ広く捉えてもらえれば良いと思います。

結婚ビザ・配偶者ビザを得るには

「結婚ビザ」とか「配偶者ビザ」と呼ばれているのは、「日本人の配偶者等」の在留資格のことですが(配偶者等の「等」は日系2世など日本人の子にも与えられることからついているもので、結婚ビザではありませんので、ここでは触れません)、単に日本人と結婚しているだけでは認められません。日本に在留する外国人は在留資格に応じた活動内容をするために許可を得ているのですから、在留資格「日本人の配偶者」の活動は、“日本人の配偶者としての活動”をするために認められるものです。では、“日本人の配偶者としての活動”とは何でしょうか?

夫婦なんて色々な形態があるのだから、どのように暮らしても自由なのですが、入管で在留資格を認めてもらうには、いくつかの要件を満たす必要があります。

基本的なこととしては、

1 一緒に暮らしていること。

2 夫婦として相互扶助していること。

ということです。

1は、文字通り、原則として同居していることが必要ということです。まあ、普通の夫婦は一緒にに暮らしますよね。別居するのであれば、そもそも日本と外国で別居していればよく、わざわざ日本に来る必要はないでしょう。但し、同居することは原則であって、理由があれば別居していても許可を得られます。認められるケースとしては、日本人の夫が単身赴任したが、自宅で夫の両親の面倒をみる場合、子供の学校の都合で夫が単身赴任した場合などです。同じ仕事の都合でも、夫の自宅の近くには適当な稼働先がないので外国人の妻がスナックで住み込みで働いている、ようなケースは認められません。

ご相談に見える夫婦の中には、同居確認をしたところ、「一緒に暮らしてます」と答えるのですが、よくよく聞くと、週末だけどちらかの家で過ごす「週末婚」だったり、時々、どちらかの家を訪ねるだけだったり、ということがあります。このようなケースでは、前述のとおりやむを得ない単身赴任のために週末婚である場合は別として、同居しているとは認められません。

2の夫婦として相互扶助していること、というのは少しあいまいなのですが、簡単に言うと夫婦がお互いに助け合って暮らしているという状態です。別居生活で生活費もお互いに別々、などというのは、もはや相互扶助しているとは認められません。

相互扶助に関わるものとしては、収入の問題があります。結婚ビザの要件に、身元保証人の収入要件は書いてはありませんので、生活保護費受給者でも申請は可能なのですが、正規在留者の場合は、実際に年収が少ないと不許可になることが多いようです。扶養の人数にもよりますが、特に年収が200万円台の場合は注意が必要です。国=入管のスタンスとして、生活保護受給者と結婚した外国人も生活保護を受けることになると、生活保護受給者を1人増やすために許可を与えることになり、国として好ましいとは言えないとういうことと、偽装結婚の可能性が高いとみられるためです。つまり、偽装結婚の相手となる日本人に生活保護受給者が多いからです。偽装結婚のブローカーが斡旋しているとみられる可能性があります。

入管の審査は、結婚に関しては生活実態をよく考えて判断しています。「結婚ビザは同居していないとダメ」と思われがちですが、同居実態を無理に偽装するようなことは絶対にしてはいけません。理由をきちんと説明すれば、許可を得ることも十分可能です。

入管の判断に絶対はありませんので、結婚ビザの申請をお考えで、不安な点がございましたら、お気軽にご相談下さい。