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在留特別許可について(1)

在留特別許可をご存知でしょうか。

在留特別許可は入管の中でも非常に特殊な手続きです。

検索でこちらのサイトにいらした方の中には、国際結婚して結婚ビザの申請をしようとしたら相手の外国人に在留資格がなかった、とか不法滞在中の外国人と結婚したが、どうやって在留資格を取得したら良いかわからない、という方もいらっしゃると思います。

前田行政書士事務所は、入管申請取次を行なっている数ある行政書士事務所の中でも、在留特別許可に関する知識・経験はトップクラスであると自負しております。

今回から数回に分けて在留特別許可について掘り下げてみたいと思います。

ただ、在留特別許可の運用については、日々変わっておりますので、記事の内容が古くなる場合もありますので、詳細をお知りになりたい場合は、遠慮なく前田行政書士事務所までお問い合わせください。

在留特別許可とは

在留特別許可とは、文字どおり在留を特別に許可することで、許可できるのは法務大臣又は地方入国管理局長です。

在留が認められない外国人=退去強制事由に該当する者については、退去強制(一般には強制送還と言われていますね)する訳ですが、様々な事情で本人が引き続き日本への在留を希望する場合、特別な事情があると法務大臣又は地方入国管理局長が判断した場合に在留を特別に許可する、という制度です。

もちろん、この特別な事情と認められない限り、在留は認められず退去強制となります。

ですから、在留特別許可は「申請」ではありません。退去強制手続の中で、「在留を特別にお願いする」ことができるだけです。

在留特別許可が認められるケースとして多いのは、

1 正規在留中であったが、在留期間の更新手続きを失念し、不法残留となっている場合

2 不法滞在中に日本人又は永住者・定住者と結婚した場合

です。

1については、「うっかりさん」の救済措置です。「うっかりさん」の場合、在留期限を超過した日数や内容によって、特別に更新を受け付けてくれる場合もあります(特別受理と言います)。但し、特別受理は、入管法上の規定がある訳ではなく、実務的な対応です。「うっかりさん」のほか、病気などで更新ができなかった場合など、天災、事故、疾病など申請人の責めに帰す事の出来ない事由による場合にも認められますが、「刑務所に入っていて更新できなかった」ような場合は当然認められません。

ここで注意したいのは、特別受理されるまでは、あくまで不法滞在となるということで、発覚すれば警察に入管法違反で逮捕されるということです。実際に、国費留学で来日している学生が研究に没頭しているうちに在留資格の更新手続きを忘れてしまい、たまたま警察官に職務質問されて不法残留が発覚し、逮捕。入管に収容されたというケースもあります。

特別受理されなかった場合、入管法違反の容疑者として違反手続き(退去強制手続)を受けることになります。東京の場合ですと、東京入管6階の調査第三部門に出頭するように指示され、そこから退去強制手続が始まります。その手続きの中で、在留特別許可を希望することになります。

2の場合、これは不法滞在者のために在留特別許可をする訳ではなく、退去強制によって配偶者である日本人又は永住者等が困るという観点から許可されると考えてよいでしょう。私の事務所への相談の中でも、「結婚すればビザがもらえる」と思っている方も多いのですが、事はそんなに甘くはありません。もちろん当該外国人との結婚が真摯なものであれば、在留特別許可を受けられる可能性は高いと言えますが、不法滞在の中身、配偶者の状況によっては退去強制となるケースもたくさんあります。日本人等と婚姻していても在留特別許可を受けることができないケースとしては、例えば、結婚が偽装結婚の疑いが濃厚な場合、本国にも配偶者がいるなど重婚の疑いがある場合、不法入国幇助などの入管法違反がある場合、管理売春や薬物売買に関わっていた場合など、様々ありますが、いずれも厳しい判断が下されます。これは、配偶者である日本人等の保護よりも、治安や法秩序を優先させる為と言えます。特に管理売春(売春の斡旋・周旋、つまり売春クラブの経営など)については、国際的に人身取引との批判が強い為、日本国政府として毅然とした対応を取る必要があることも理由の1つです。

次回は、在留特別許可の具体的な手続きについて、お話ししたいと思います。

在留特別許可の詳細については、前田行政書士事務所までご相談ください。