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仮放免について

仮放免とは

在留特別許可(2)のコラムで出てきた仮放免について、詳しく見ていきたいと思います。

在留特別許可のコラムでお話ししましたが、仮放免とは本来入管に収容すべき外国人を、一定の条件下で、一時的に収容を停止し,身柄の拘束を仮に解き在宅措置にすることです。仮放免とは収容令書が発付された人または退去強制令書が発付された人に対して行われるものであり、入国警備官の摘発を受けた後、収容されずに在宅措置になっているケースは含みません。

仮放免の種類

1 職権による仮放免と請求による仮放免

職権仮放免とは、入管側の都合により、収容者側から請求しなくても職権で仮放免する場合であり、保証金なども必要ありません。職権仮放免が行われるのは、主に出頭申告で手続きを受けている場合です。自ら出頭しているのであるから逃亡の恐れがないと考えられるからです。また、収容期間は基本が30日間で延長して60日までなのですが、その間に在留特別許可が得られるか退去強制になるかの結論が出ない場合などにも行われます。

これに対して、被収容者本人又はその代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹からの請求により仮放免を行うこともあります。この場合は、保証金(300万円以下で入管が決定)が必要なのが特徴です。弁護士や行政書士が、「仮放免申請を行います」として追加費用を請求しているケースがありますが、通常のケースで仮放免の請求が認められることはほとんどありませんので、仮放免申請にほとんど意味はありません。入管に収容された容疑者で在留特別許可を希望する場合、基本的には収容して手続を進めます。仮放免申請の件数は多いのですが、いちいち仮放免していては、手続きの期間が長くなり手間がかかるだけです。東京入管ですと違反審査部門が仮放免を担当する部門になりますが、おそらく申請書が山積みになっているだけです。つまり制度として請求による仮放免はあるのですが、単純な請求では仮放免をしないということです。よく考えれば、すぐに仮放免をするくらいなら最初から収容などしないのです。

仮放免が認められるケースとしては、容疑者が妊婦、病気、乳児が自宅にいる母親など、健康面の問題がある場合がほとんどです。こうした人道上の配慮から仮放免をする場合、入管から仮放免請求をするように指示され、保証金を納めて仮放免になりますし、時間的に急ぐ必要がある場合などケースによっては、職権仮放免となることもあります。

真摯な婚姻関係が認められる場合などはどうかというと、むしろ仮放免をせずにさっさと在留特別許可を与えます。

2 収令仮放免と退令仮放免

収令仮放免とは前述のとおり収容令書が発付され収容された者に対する仮放免です。これに対し、退令仮放免とは、退去強制令書の発付を受けた者に対する者です。収令仮放免は審査結果が出るまで有効ですので、例えば在留特別許可が認められなかった場合、呼び出されその旨が告げられ退去強制令書が発付された場合、その場で収容されることになりますが、引き続き、出国まで在宅措置を継続する場合は退令仮放免に切り替わります。

退去強制令書が発付された場合は、収容期間に関係なく帰国するまで収容されるのですが、裁判を起こした場合や送還忌避の場合で収容期間が長期に渡る場合、人道上の配慮で仮放免となる場合もあります。

仮放免の条件と仮放免許可の取り消し

仮放免には条件があり、居住地のある都道府県と入管までの経路以外に移動することはできません。旅行などで止むを得ない場合は、入管の許可が必要となります。また、外国への出国もできません。家族で退去強制手続を受けているケースで外国籍の高校生などが、修学旅行で海外に行く、というような場合でも認められません。

また、定期的に入管への出頭が必要で、出頭日に指定された日には入管に出頭し確認印をもらいます(印をもらうだけで、何の調べもありません)。連絡なしに出頭日に出頭しないと逃亡と見なされ、収容されることもありますので必ず出頭する必要があります。

そして、当然ですが、仮放免中の就労は認められません。働くことは一切できないということです。

これらの条件に違反した場合のほか、仮放免中に警察に逮捕された場合、仮放免の取り消しが行われます。警察、検察または裁判での処分が決まった後、仮放免が取り消され、収容されることがあります。

仮放免の請求や在留特別許可のご相談は、【前田行政書士事務所】にご相談ください。