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DV被害者支援(2)

DV対策、DV被害者支援の流れ

1 相談・カウンセリング

DV被害者の方からのご相談があった場合、まずはじめに、状況を正確に把握するため、いつから、誰が、誰に対して、どのような暴力を振るったのか、といった基礎的な内容を伺います。そして、より具体的に暴力をを振われるようになった経緯のほか、酒癖が悪く、酒を飲んでは暴れる、とか暴力は振るわないが、罵声を浴びせ続けるなど言葉の暴力により精神的なダメージを受けたなど、細かくお話いただきます。また、お子様がおり、児童虐待がある場合は、別に対策をとる必要が出てきますので、その点も考慮していきます。

その上で、被害者の方がどうしたいのかをお聞きします。DV被害者の方の場合、大きく2つの方向性に分かれます。1つは、もう我慢できないので離婚したい。離婚を前提に対策を行いたいという場合、2つ目は、離婚はしないが、相手が暴力を振るわないようにしてもらいたいという場合です。2つ目の場合でも、相手が治らなければ最終的には離婚も視野に入れるという場合もあります。

2 対策

1で伺ったお話をもとに、様々な対策を講じていきます。まず、離婚を望まれる場合、夫婦円満に協議離婚とはいかないと考えられるので、基本的には、弁護士の紹介を行なっています。但し、DVを原因として離婚訴訟を行う場合、ある程度の証拠、立証資料が必要はとなりますので、その場合は、弁護士と連携しながら、前田法務調査事務所の調査チームが証拠の収集を行います。離婚したいという目的がはっきりしていれば、法的な対策をどんどん打っていくことができます。

次に、離婚は考えず、配偶者の暴力をやめさせる場合。

この作業は大変難しく、時間が掛かりますので、かなりの覚悟を持って行う必要があります。また、暴力がなくならない場合もありますので、その場合のことも同時に検討しながら進めていきます。ただ、私共が、被害者に寄り添い、徹底的にサポート致しますので、ご安心下さい。

対策の内容については、個々のケースによって変わるのですが、一般的な対応は次のように進めます。

まず、被害者を加害者から引き離します。物理的に距離を取り、直接会わないようにします。加害者から離れることによって、被害者の方を暴力から守ることが一番の目的ですが、同時に、様々な対策をとるための時間稼ぎをします。

そして、カウンセラー等が間に入り、夫婦間のやりとりは、できる限りカウンセラー等を介して行うようにします。加害者に対しては、加害者の行為がDVであることを伝え、気づかせることが必要です。案外、配偶者が家を出て行ったことで、目が醒めることも多いので、このチャンスを活かします。その中で、加害者の意思確認を行います。夫婦生活をやり直す気があるか、そのために努力する気持ちがあるかどうかが大変重要であり、大きなポイントになります。被害者から「DVをやめ、更生しなければ家に戻らない」という意思も伝え、加害者にどうするのかの選択を迫ります。加害者自らが、後世に取り組む気持ちが無ければ、残念ですが加害者が更生する可能性はかなり低くなります。

ここで、加害者がやり直す努力を示した場合、治療やカウンセリングに進んでいきますので、加害者に適切な更生プログラムを紹介します。加害者が、この更生プログラムを受けると決めた場合、初めてスタート地点に立つことになります。しかし、実は、ここに持っていくのが大変難しい作業になります。そのために、別居をしたり、連絡を絶ったり、カウンセラーが介入したり、あの手この手を使う必要がありますが、この加減についても私共がサポートしていきますので、ご一緒に相談しながら進めます。

残念ながら、加害者に更生に取り組み気持ちがなければ、被害者は一生暴力に耐えながら生きることになるので、離婚を考えた方が良いと思います。

3 加害者の更生プログラム

加害者が治療の意思を示した場合、更生プログラムによる治療をすすめていきます。その際、DVの原因にアルコール依存症がある場合等は、医療機関での治療を開始してもらいます。ただ、アルコール依存と関連するDVの場合、アルコール依存の治療をすれば良いと考えがちですが、大抵の場合は、お酒だけが原因ではなく、考え方に問題がある場合が多いので、並行して更生プログラムに取組むべきです。

加害者の更生プログラムでは、最初に「気づき」として、自分が行なっている行為がDVであること、相手の人格を無視した行為であること、夫婦としてどうあるべきか、など学習していきます。

ところで、感情のコントロールはできるのでしょうか。感情のコントロールはできない、とか感情のコントロールは訓練が大変だとか、いやコントロールはできる、などいろいろなことが言われています。

おそらく、短期的には感情をコントロールすることはできるかもしれませんが、おそらく長続きしないと思います。つまり感情のコントロールとは感情を押さえつけて我慢することになるからです。感情に限らず、押さえつけていれば、いつ必ず爆発してしまいます。

ですから、怒りの感情を押さえつけてDVを止めることができたとしても、一時的なものとなってしまい、2、3か月もすれば爆発してしまう可能性があり、根本的な解決にはつながらないでしょう。ではどのように更生していくのか。感情というのは思考から生じるものですがか、「思考を変える」必要があります、つまり考え方を変えるのです。そして、これを繰り返し訓練することによって習慣化します。考え方が変われば、怒りの感情をを爆発させて暴力を振るうことがなくなります。

文章で書くと簡単に見えますが、思考とか考え方を変えようと思っても簡単ではありません。しかし、夫婦生活をやり直したい一心で、必死に取組んで更生した方はたくさんいます。そのために必要な期間は、個人差はありますが、最低でも月1回から2回のカウンセリングを受け、半年から1年かかる作業です。この中で、考え方を治して習慣化させるのです。

前述のとおり、加害者が更生プログラムを受けると決めるのがスタート地点であり大変重要ではあるのですが、更生プログラムに必死に取り組み更生できるかが、勝負となります。

4 被害者の生活について

加害者である配偶者と別居する場合、特に夫からの暴力から逃げる場合で夫の収入で生活していた場合、住む場所、別居後の生活費の問題など、様々な問題があります。住む場所やお金もないままでは困ります。そのため、別居したいができずにいるという方も少なくありません。そのため、民間シェルターなどもありますし、各自治体で相談も受けてくれます。また、加害者に更生プログラムを受けさせることができれば、もちろん別居費用も払うよう、こちらから働き掛けることもできますし、配偶者が別の所に住むという方法もあります。

また、離婚を検討する場合も、離婚後の生活費、子供の養育費の問題が生じます。こうした金銭的な不安が解消できるよう、関係機関の紹介など、サポートしていきます。これらの作業と合わせて離婚後の生活についてのカウンセリングなどもすすめていきます。

これらの流れの中で、関係機関への相談先が必要だったり有効だったりする場合は、私共が協力して相談などを受けられるよう手配したり、実際に同行したり、資料の作成、提出も行います。また、離婚の準備をする場合は、連携して行動している弁護士を紹介しますので、法的な問題が生じた場合もご安心下さい。

次回は、離婚を前提としたDV対策と保護命令などの法的な措置についてお話しします。

当事務所は、東京、多摩地区・小平市を中心に業務を行なっておりますが、最近は、全国から相談のお問い合わせを頂いております被害者の方のお力になれるようできる限りの対応をしておりますので、都道府県や地域に関わらず、一度ご相談下さい。

ドメスティックバイオレンス、DVでお困りの方は、一刻も早く、前田行政書士事務所または前田法務調査事務所までご連絡下さい。相談は無料ですので、安心してご相談下さい。しっかりサポートいたします。